卒業文集とら001

2018年4月27日、その知らせは不意に訪れた。いつものようにクラス替えの定期メンテナンスを迎えて、メンテ応援の準備も考えていたFTAの束の間の休息に飛び込んできた「運営サービス終了のお知らせ」。
これまで2年以上も毎日のように遊んできて、既に生活リズムにも取り込まれていたFTAが、終わる。

この世界にゲームという存在は無数にあるのに、FTAの代わりになり得る存在は一つも無い。
寂しくないと強がるには無理があり過ぎたし、悲しくないと言い切るのは嘘でしか無かった。

それでも涙が出ることは無かったし、最後の日にも泣かないだろうと4点重ね掛け予知の自信を持っていた。
なぜならば、FTAはすぐにではなくてもそのうち終わるだろうと2年以上も思い続けてきた自分もそこにはいたから。
FTAが基本プレイ無料+アイテム課金という形態である以上は、他の同様のタイトルと同じように、大量の石を購入して何回もガチャを回してくれる廃プレイヤーの存在は欠かせなかった。
しかしFTAはアメジストのまとめ買いにおまけをつけなかったり、無課金の生徒でも上位争いを出来る期間が結構長く続いていたり、そもそも課金が通用しない予言テストの存在もあって、積極的に課金させるには難しかったように見えていた。
運営をスクエニからDWEへ移管したのも、スクエニの基準では続けるに足りないのだろうと思っていたし。終わると思っているものが終わっても、それは「やっぱり」と思うだけで済む。

4月27日という日付に心当たりもあった。
FTAがヨソのアプリのプレイヤーからは異端だと言われる要素の一つでもあった、累計課金額に応じてタロットカードなどが貰えたプレゼントキャンペーンの中止が突然告げられ、応募の締め切り期限として4月27日という日付を提示していた。
3月30日に利用規約に追記された「附則」の内容は、サービス終了時の有償分アメジストの払戻しに係る部分だったし、3月15日にプレゼントキャンペーンの応募フォームがスクエニからDWEのサーバーへ変更されていたし。バージョン3.1.0がなかなか来なかったのも、不安を募らせるには十分すぎるほどの燃料だった。

終わることをみんなが意識して過ごす最後の2か月間は、予知していた未来を大きく振り切って全力で卒業キャンペーンを駆け抜けることになった。
終わるのにグリモアの新章が追加されて、終わるのにS6が実装されて、終わるのにとらんす一味が増えて、終わるのにアプリの改良や新機能が追加され、毎日配布される大量のアメジストと月のかけらは瞬く間にアルカナブックを輝かせ、郵便箱を空にするミッションは早々と放棄させられて推しアルカナからの卒業メッセージすら押し流し、Twitterキャンペーンに恐ろしい数の投稿が寄せられて、メンテ応援も増え続け、プレイヤーイベントが多数開かれて。本当に何年分の時間を圧縮したのか分からない位に密度が濃かった学園生活の最後には卒業式まで用意されていて……。

サービス終了から一夜明けて開催された予言者卒業オフ会は、サービスが終わってしまうタイトルにも関わらず100名以上の参加希望者を集める大イベントとなった。欠席を選んだ私のところにも当日の会場の様子は沢山流れてきたし、みんなで卒業を祝うんだという強い気持ちが伝わってきた。
今回のオフ会には参加しなかった私も卒業文集には寄稿をした。手元にある出来上がった素晴らしい卒業文集の自分のページを開いて、綺麗に印刷されていて安堵したのと、原稿を書いたときに私は自分で思っていた以上に不安だったのだと気付かされた。

FTAのサービスが終わって、大きなオフ会も終わって、TwitterでもFTAが終わってしまうことを惜しむ呟きが追い掛けきれない程に沢山流れてくる。
予知した通り、最後の日にもその次の日にも涙は出なかった。この先もFTAが終わることで泣くことは無いだろうと思っている。
でも、それはFTAが終わると思っていたからではなくなっていた。

卒業文集に寄稿をした生徒それぞれにFTAに対する強い想いがあって、文集には参加していない生徒にも同じように強い想いがあって、みんなが今できることをやりきって最後の2か月を駆け抜けた。
FTAが終わっても、きっとたぶん、全力で楽しいと思える何かにみんなが出会えるのではないかと強く思うし、そうあって欲しいと願う。

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